そして空を見下げた

2/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
我輩は空を見上げた。 すると、あのひときわ輝く星から一筋の光が伸びてきた、そして我輩を包んだ。 暖かい……。 背中の辺りがむずむずすると思ったら背中から金色の羽が生えている。 気がつけば毛並みも金色、大っ嫌いな水浴びもしていないのに、ふわふわサラサラこりゃ良いや! そして我輩は天高く駆け出した。 足を掻けば掻くほど羽が動き光の中を天高く上っていく。 程なくして雲を突抜……目の前に広がるのは大きな大きな視界に入りきらないほどの満月。 下を見れば雲の下に町がキラキラ光る割れたガラス片の様に散らばっていた。 汚ねえ光だ。 我輩はまた駆け出した。 程なくして夜より辺りが暗くなった。 更に程なくして月が只の石ころだとわかった。 更には、今までいたところが、ちっぽけな場所なんだとわかった。 そして、振り返ると今までいた惑星は、青かったんだってわかった。 地球?知らんな、我輩は猫だから。 ただ解るのはあれが青い空の元なんだってこと。 今の状況は空を見下げているんだろう。 何?これは空を見上げたコンテスト用の作品だって? 知らん!我輩は猫だから。 よーく見てみると……、なんだ、この惑星、ちゃんと緑もあるんじゃないか! もっと大切にしろよな! こうして我輩はこの青き惑星に背を向け旅路を急いだ。 きっと、あの惑星にいる我輩の家族や、犬も狸も……そして人間も我輩の光輝く勇姿を見ていることだろう。 おしまい!
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!