episode242 pay you back

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「これは……」 さすがに爪先がこちらを向いたまま 入室の一歩手前で征司は立ち止まった。 だがそんなのほんの一瞬だ。 「やれやれ……何の余興が始まるんだ?」 だって王様の辞書に後退の文字はないから。 持っていらした紙袋を 無造作にテーブルに放ると。 「1人でも十分厄介な奴の、コピー人間がいるとは」 気の利かないホストに変わって ご自分でシャンパンを注いで 窓辺を背にしたソファー身を投げる。 「あの、お兄様……」 「いいから座れよ。立ちん坊で話をする気か?」 まだ本調子じゃないのかもしれない。 ネクタイを緩める 征司の顔色はこころもち青白い。 ことりが呆けたように立ち尽くす僕の袖を引いた。 「ん、ああ……」 自分が言い出したくせに。 しっかりしなさいよとその瞳は告げていた。
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