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episode242 pay you back
「連れ出してくださってありがとう。ここのところ病院と家の往復ですっかり気が滅入ってたの――」
あれから数日がたった。
もっとも僕には1ヶ月にも2ヶ月にも感じられたけどまだ数日だ。
「どう致しまして。君が弱ったところへ颯爽と登場するのが僕の役目だ」
そんな自称スーパーマンは椎名涼介。
おどけたポーズで椅子を引き僕を特等席に座らせてくれる。
「いいお店知ってるのね」
「当然じゃないか。僕が共同経営者だ」
「ふうん。あなたって何でもやってるんだ」
「まあね」
天井まで吹き抜けのカフェ。
階下は植物園のような造りで
都会の真ん中で森林浴に来たみたいに癒される。
「おすすめはオールミルクで淹れるティーラテだけど、コーヒーも美味いんだ」
「お任せします、みんな」
「いつもそう言ってくれると嬉しいんだけど」
まったく――。
邪まな想像に頬を緩ませながら
椎名さんは近くのスタッフを手招きした。
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