0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
ピッ。
短い笛。
スローイン。
第四クォーター残り時間あと5分。
88対78。
5分あればじゅうぶんだ。10点差くらいすぐに追いつく。
序盤からカウンターの応酬だった。さすがは県内屈指の強豪校、こちらがシュートを決めたら、敵は必ず取り返してきた。
ここまで食らいついてこれたのは奇跡だ。でも、私たちの体力はもうとっくに限界を超えている。それでも、負けるわけにはいかない。
春日西中学女子バスケットボール部創設以来初の全国大会進出がかかっているのだ。
ダンダンダン。
敵3番がドリブルからパス。レンちゃんがカット。よし。こっち。きた。いいパス。
キキュッ、キキュッ。背後で独特のスキール音。みどりんが私の左手後方から右手に移動してくる。
目の前の敵ディフェンスにフェイントをかけつつ右にノールックパス。飛び込んできたみどりんがキャッチ。くん、と腰が落ちる。
敵ディフェンスが取り付く。でも遅い! いけ!
みどりんが放ったボールが弧を描きパシュッとゴールに吸い込まれた。リングに触れないスウィッシュシュート。スリーポイント。
「ナイッシュー!」ベンチと応援席から一斉に声が上がる。
88対81。
最初のコメントを投稿しよう!