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Trick or Treat?
「いや~っ、濡れちゃうぅ~っ」
嬌声じみたそれにぎょっとしながら振り向くと、通学バッグを傘代わりに頭上にかざしながら、「ぴ~」とか小動物みたいな鳴き声をあげて走る彼女。
青天の霹靂──とはよく言ったものだ。
季節外れの夕立がザブザブと降りだし、近くのバス停へと駆け出す俺の後を、甘ったるい声をあげながらあいつも続いてきた。
予期せず、俺と彼女の二人きりで、学校前の屋根のあるバス停で雨宿りする形となってしまった。
秋の放課後ともなると、ほんのり薄暗い。
いや、急激に立ちこめた雨雲により、今はいつもよりだいぶ暗いか。
バス停の灯りが、いつもより早めにパチパチッと点灯された。
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