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電動アシスト自転車の電装部品、EV(電気自動車)の電装部品、世界に名をはせたオレの会社は、次なる成長エンジンに、タイムマシンの電装部品の製造を考えていた。オレは一人沈思黙考の日々、深?の本社ビルで一息入れていると、応接室に一人の男が現れた。
「あなたは?」
「わたしはジョンといいます」
手元のスケジュール表を確認すると、たしかにジョンという名前があった。そこには未来からの使者とある。
「よくいらっしゃいました」とオレは丁重にあいさつをし、ソファーをすすめた。「どうぞ、おかけください」
ジョンは言った。
「未来から来た私はあなたに未来を売ることができます」
オレは言った。
「いい未来ならぜひ買いましょう」
ジョンは言った。
「ではどうぞ」
オレはまず中国製のタイムマシンに乗って未来へ旅をし、次にアメリカ製のタイムマシンに乗って未来へ旅をした。米中のタイムマシンを乗り比べてオレは悟った。
「中国では欲が深い人ほど地獄に向かって進んでいく」。いっぽう、「アメリカでは欲が深い人ほど天国に向かって進んでいく」
オレは決断した。会社をすべて売り払い、資産のすべてをつぎ込み、アメリカのサンノゼで起業、アメリカ製のタイムマシンの電装部品の研究・製造を目指すことにした。部品の出来には自信があった。アメリカを選んだのは他でもない、
「アメリカでは多くの欲によって多くの功徳を積むことができる」からである。
シリコンバレーに囲まれたサンノゼのオフィスからはカリフォルニアの青い空が広がっている。
「いい未来を」とジョンは言って消えていった。
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