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もたもたするな。お前が足を止めている間にも破滅の時は近づいているんだぞ
いいじゃないか、木に引っかかった風船をとってやるぐらい。あ、さてはお礼のキスが羨ましかったんだな?
あの薄桃色の唇ーーいい女になるぜ、あの子
(ドサッ)
これでも所帯を持つとなった時には苦労したんだ。身辺整理にな。断言するぜ、あの子は美人になっただろう。お前が彼女を見捨てて、索敵に専念していれば!
嘘だろ?
元は白かったであろうワンピースの断片。さっきの今だ、間違いないだろう。こいつはピンクカラーのゴムボールなんかじゃないーー人間だ。
……手を上げれば無人の車が迎えに来る。往来は掃除機能付きのゴミ箱みたいなもので、分別の仕方なんて忘れてしまった。風船が引っかかっていた木だって、その実、機械の塊だ。
ついに人類は楽園に到達した!皆してそう思っていた。ほぼ全てのAIに強制力を持つ「マザー」が狂うまではな
狂ってしまえたならば、どんなに幸せだったろう!
だが、僕の電子頭脳は至って冷静にーー照準を合わせる。
……マスター、頼みがある。
なんだ?我が愛銃、パンドラよ
残弾数なんて気にせずにぶちかましてくれ!
いいだろう、最後に希望があると信じて
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