仕込み銃器のパンドーラ

2/2
前へ
/2ページ
次へ
もたもたするな。お前が足を止めている間にも破滅の時は近づいているんだぞ いいじゃないか、木に引っかかった風船をとってやるぐらい。あ、さてはお礼のキスが羨ましかったんだな? あの薄桃色の唇ーーいい女になるぜ、あの子 (ドサッ) これでも所帯を持つとなった時には苦労したんだ。身辺整理にな。断言するぜ、あの子は美人になっただろう。お前が彼女を見捨てて、索敵に専念していれば! 嘘だろ? 元は白かったであろうワンピースの断片。さっきの今だ、間違いないだろう。こいつはピンクカラーのゴムボールなんかじゃないーー人間だ。 ……手を上げれば無人の車が迎えに来る。往来は掃除機能付きのゴミ箱みたいなもので、分別の仕方なんて忘れてしまった。風船が引っかかっていた木だって、その実、機械の塊だ。 ついに人類は楽園に到達した!皆してそう思っていた。ほぼ全てのAIに強制力を持つ「マザー」が狂うまではな 狂ってしまえたならば、どんなに幸せだったろう! だが、僕の電子頭脳は至って冷静にーー照準を合わせる。 ……マスター、頼みがある。 なんだ?我が愛銃、パンドラよ 残弾数なんて気にせずにぶちかましてくれ! いいだろう、最後に希望があると信じて
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加