chap 1『黄泉』襲来

9/21
前へ
/272ページ
次へ
《sec3 出撃》 ギュン!ギュン!ギュン!ギュン!ギュン!ギュン! 中型多目的ヘリ(ブラック・ホーク)の4翅ローターが激しく回転を始める。 「搭乗確認っ! 点呼、始め!」 暗い荷室の中で点呼が入る。 「操縦、呉井!」 「通信、山喜!」 「砲手、杉谷!」 「同じく砲手、桂!」 「装備、佐和山!」 「同じく装備、河本!」 「現場指揮、葛城!以下総員7名、搭乗よしっ!」 点呼完了に間髪を入れず、司令室から無線が飛ぶ。 「了解!葛城班、出撃を許可する。速やかに黄泉を駆除せよ、以上!」 同時にローターの回転が勢いを増し、鮮やかなスサノオ色(フローラル・ホワイト)の機体が漆黒の夜空目掛けて飛び出した。 アマテラスや黄泉が跋扈(ばっこ)するA都は高層ビルが立ち並ぶ大都市だ。 人間(エサ)の密度もさることながら、これだけ建造物(ストラクチャー)が多ければ追手から身を隠すにしても便利なのだろう。 だが、駆除する側としては頭の痛い問題である。 唯でさえ地上からのアクセスは渋滞の問題がある上に、黄泉が出現した周辺は概してパニックになっているから、現場到着は更に難易度を増す。     
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加