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レンジャー部隊から派遣されてきたという桂が、文句を言いながら起きてくる。
190を超える長身に、簡易ベッドは少し窮屈かも知れない。
それにしてもだ。
女性隊員の控室が『男子禁制』なのは当然としても、男性隊員の控室が『女人禁制』でないのは少しばかり合点がいかない。
いくら制服着用が義務の仮眠とは言え、正直なところ寝室に入られるのはどうかと思う。
何でも、それを言うと『ジェンダー・コードに抵触するから』という話もあるが。まぁそれは建前というものだろう。
「皆さん、コーヒー飲みますか?」
山喜がポットにお湯を注いでいる。
WAC(女性陸自官)出身らしく『ヘルメット装着の邪魔になるから』と、頭髪を短く刈り込んでいるが。
葛城から見てもよく気の付く、愛嬌のある娘だと思う。
これが平時で、髪も長くしてメイクも整えれば男性陣が放っておきはしないだろう。
「ああ‥‥すまないね。私も手伝うよ」
早めに目が覚めたのか、上床を終えている杉谷が棚から人数分の紙コップを用意する。
彼は空自でF-2パイロットだったと聞く。
「‥‥。」
その様子を横目に、葛城は簡易ベッドの下に常備してある鉄アレイを持ち上げてみた。
うん‥‥それほど重さは感じないな‥‥
それは、疲労の度合いを知るためのバロメータ。
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