40人が本棚に入れています
本棚に追加
《sec2 警告》
ビーッ!ビーッ!
夜の司令室に警告音が鳴り響く。
《 緊急警報、緊急警報。『黄泉』が出現。場所は『E地区-21ブロック』。繰り返します‥‥ 》
冷静な自動音声とは裏腹に、司令室は一気に慌ただしくなる。
「出たか‥‥またしても『E地区』とはね‥‥」
司令を務める山倉が、ため息混じりにモニターを覗き込む。
いくら任務とは言え。ここ最近は、ほぼ毎夜になっている『緊張感』は還暦に近い身体には流石に堪える。
「‥‥出現は間違い無いのか?」
「はい、付近にいた市民のアプリからも画像情報が上がって来ています。間違いないですね」
市民の持つスマートフォンの多くには、緊急用の通報アプリが入っている。それらが自動的に、情報を司令室へデータ転送してくるのだ。
「葛城班、こちら司令室。 黄泉出現! 直ちに現場へ‥‥」
コーディネータの若い女性が、当直の葛城班へ緊急出動を要請している。
「そうか‥‥『アマテラス』ではなく、『黄泉』か?」
いまいましそうに、山倉が「ちっ!」と舌打ちをする。
疲労も溜まってきている。出来る事なら早く『カタを着けたい』と願うのだが。
最初のコメントを投稿しよう!