40人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうですね‥‥今回も『本体』ではなく、『コピー』の方のようです。残念ですが」
モニター班の男は、ゆっくりと首を横に振った。
‥‥アマテラスが、捕獲されていた鴻池研究所から『遺失』して3年。
アマテラスによって『作られた』と思われる『ゾンビ』が、街中で暴れまわる災害が多発していた。
どういう方法なのか、目撃者が居ないので定かではないが。とにかく、アマテラスは何らかの方法で人間をゾンビに変貌させる。
そして、ゾンビ化した人間は他人を『食って』しまう。
いや、人間だけではない。
それが犬であれカラスであれ、動物なら見境なく『取り込んで』しまう。それも際限なく手当たり次第だ。
無論、取り込んだ事で質量は増大するが、暫くの間は『見た目の大きさ』を維持出来るようだ。
だが、それでも限界はある。
一定以上に『取り込む』と、ある時に突然『巨大化』を起こすのだ。しかもその姿形は人間の『それ』を留めることなく、完全に『怪物化』する。
もはやそこに『人間としての生』は無いが、さりとて『死者として沈黙』もしていない。
そのため『黄泉平坂を彷徨うもの』という意味を込めて『黄泉』と呼ばれている。
最初のコメントを投稿しよう!