一カ年千人計画

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 トビが頷いた。 「ああ、それよく分かります。会社の同期を見ているとテレパスの方が仕事を覚えるのが早いんですよ。何でかって一度聞いてみたんですよ。そしたらテレパスのネットワークに仕事のノウハウが乗っているからだって。ずるいですよねえ」  コノハズクにも思い当たる節があるようだった。 「それならあたしだって、今まで学校で散々感じてきたわ。最近の学校のテスト、暗記すれば答えられるような問題がないのよ。テレパスのネットワークを見れば答えがすぐに分かっちゃうから」 「それ本当ですか? ボクは暗記が苦手だったから羨ましいなあ」 「とんでもない。暗記問題がないって、暗記をする必要がないわけじゃないわ。全部、知っていることが前提なのよ。暗記してないと、スタートラインにも立てないわけ」 「うへぇ」  トビが変な声を上げて頭を抱えた。
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