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◇
それからというもの、私は彼に見て欲しくて、彼に伝えたくて、
誠意一杯演技するようになった。
それは、たったひとりだけの観客のステージ。
だけど、一番大切な観客のためのステージ。
「おぉ…ロミオ…
どうしてあなたはロミオなの?」
私の演技を見た彼は時折『へぇ』と感心したような表情を見せる。
私はそれが嬉しくて、ますます演技に熱を込めた。
そして、時には彼への気持ちも織り交ぜながら演技した。
「…わたし…とても嬉しかった。
あなたが…好き…!」
それを見た彼は演技とわかっていても少しどぎまぎして赤面する。
恥ずかしくなって私も後から赤面してしまった。
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