軛《くびき》

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こうして私は、名も知らぬ彼の前で演技を続けてきた。 その成果もあり、自分でもわかるくらいに成長ができた。 ーーありがとう、って言えたらな……。 いつのまにか私は、彼へ伝えたい思いが膨らんでいた。 でも、私ができるのはこうやって演技で表現することだけ……。 ーー私…いつか彼と話ができれば……。 いつしか私も演劇部で認められるようになっていた。 たまに来てくれるOB・OGの人も、私の演技を気にってくれたらしく非常に良くしてくれる。 それどころか、次の公演では主役にまで抜擢されることになった。 ーーこれもみんな、彼のおかげね。 私はどうしても彼に感謝の言葉を伝えたかった。
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