とりとめない綴り2021

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多くを説明しなくても父は事情を理解したようで、「長男のことを本気で考えるなら今日はここに来ないでそばについていてやれば良かったと言いたいけど、来てくれたことは嬉しかったしお前の事情を知ることも出来て良かった。おまえは大丈夫なのか?」って。 すごく驚いた。父のことを舐めていた。 小さい頃、窓から投げられたり、灯油を浴びせて火をつけようとした暴力的な父の印象しかなかったから、本当に驚いた。父の視野の狭さは一生そのままんだろうって思いこんでいた。 でも、母の介護をしたりがんになって迫り来る死への恐怖と対峙して、成長したのだろうか。私の中の父が塗り替えられた。 会って、話をすることは大事なんだなって実感した。 長すぎるほどの期間、私が父に抱いてきた怒りとか憎しみは霧が晴れるように消えたよね。 彼の人生の最後が近いので、蒸し返さずにそのままでいたいと思う。今後は純粋にひとりの子供として親の背中を眺めていければいいなって思う。
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