番外編;カノジョと富豪の風呂の話

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裏切ることになってしまうんじゃないのか。頭をかすめる。けれどそれはきっと旦那だって思っていることだと思う。あえてそれをしようというわけだ。 「本当にいいんですか? 先輩は嫌がるんじゃないですか?」 ふと口にする。けれど、先輩という訳し方があるのか分からず、彼の名前を口にした。旦那は少し黙ったあと、軽く頷く。 「だいじょうぶです、わたしはかれに、しっとしてほしい」 フォローは後でする、とも付け加えた。 「わたしたちがすることで、かんじるきもちを、かれにあたえたい」 英語のニュアンスをうまく訳せなかったらしく、言いたいとがわかるようなわからないような翻訳になっていた。結果的に彼ら夫婦にとっても必要なことでもあるというのなら、腹を決めたい。 (本気でするわけじゃないなら) さすがにそれは気が引けるから。気が引けるというか無理だ。けれど、自分のパートナーはそこまでしないときっとわからないだろうから。
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