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緑色の馬になったマッシュを、群れの仲間は歓迎した。
遠目だと草や茂みに擬態することも可能な緑色の体は、敵の目をあざむくことができたからだ。
重宝される嬉しさに、自信を取り戻したマッシュ。
けれどある日、気づいてしまう。
仲間たちが優しいのはこの体が便利なだけで、自分の中身を愛してくれているわけじゃない――。
ひとりで生きてゆくことを決意したマッシュは、ある晩そっと群れを抜けだし、サバンナの奥へと消えてゆく。
子ども向けの絵本にしては、悲しくて救いのない結末だ。
けれど、その物語は幼い心の奥底へまっすぐに届いた。
きれいごとだけでは生きてゆけない。
そのことを、祖父は平易な表現と鮮やかな色遣いで伝えたかったのではないだろうか。
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