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わたしは生まれつき全体的に色素が薄く、髪の毛は栗色に近い茶色だ。
そのことをクラスの男子にからかわれるたび、言い返すこともできずにうつむいて唇を噛んだ。
努力で変えることのできない、見た目のコンプレックス。
わたしには、マッシュの辛さや孤独が痛いほどわかる気がした。
そんな日々を送っていた小学2年の夏休み明け、クラスに季節はずれの転校生がやってきた。
やや小柄で、背筋がきりっと伸びていて、左眉の上にやや大きめの、セピア色のほくろがある男の子。
それが、芳賀隆生だった。
隆生は、わたしの隣りの席になった。
神奈川県の横浜市から来たという彼は、クラスの男子とひと味違った。
北国の田舎町で育ったわたしたちと違って、きれいな標準語を話すけど、気取っていない。
ひとの名前や容姿の特徴をからかったりしない。
給食や掃除の時間に騒いだり、悪ふざけしたりしない。
かと言って優等生ぶっているわけでもなく、口数は少ないものの人懐っこくおおらかで、ごく自然にクラスになじんでいった。
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