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「困ったな・・・厄介な破目になっちゃったぞ?!」
図書館の本棚という本棚をよじ登り、くまなく目当ての本を探しているタヌキのポンポは、迫ってくる自らを追い払う為にモップを持った人間を警戒して、じっと息を凝らしていた。
すすっ。すすっ。すすっ。すすっ。すすっ。すすっ。すすっ。すすっ。すすっ。
モップの柄が、タヌキのポンポの尻尾をかすめた。
ぞくっ。
「この人間、俺を追い出そうとしてるんだな。『タヌキ』だからな。俺。
人間に捕まったら、生きて森には帰れないと、母ちゃんが言ってたし・・・
人間に捕まるもんか!
あの本を見つけるまではね・・・!!」
タヌキのポンポは棚から棚へとひらりと飛び移り、しつこく追尾してくるモップの柄から逃れながらも、目当ての本を図書館の隅から隅まで汲まなく探し回った。
「わーい!!タヌキさんだ!!」
「タヌキ!!タヌキ!!」
「げっ!!児童図書館に来ちゃった!!
人間の子供!!来るな!来るな!
『あいつ』に見つかるだろ?!」
児童図書室の絵本の棚からはみ出た、タヌキのポンポの尻尾を子供達が群がって掴んできた。
「痛いっ!!引っ張るな!!引っ張るな!!」
ぎゃっ!!
タヌキのポンポは、痛さの余り思わず悲鳴をあげてしまった。
・・・しまった・・・!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
タヌキのポンポは、後ろに殺意を感じて振り向くと、図書館司書の康子がモップを持って仁王立ちしていた。
「げぇっ!!」
タヌキのポンポは一目散に児童図書室をすり抜け、死物狂いで図書館を走り回った。
「待てぇーーーごるぁーーー!!」
モップを振りかざして追いかける、図書館司書。
目の前を見た。
・・・本棚・・・!!
ポンポはとっさに本棚と本棚の間の陰をまわり、難しそうな行書が並ぶ本棚の1番上の棚へぴょーーーん!!と飛び移った。
「ん・・・?!この本は・・・これだ!!」
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