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3 人間との関わり
【最終修行 老人ホーム】
「君は、新人さんかね?」
そう、ゆっくりと柔らかな声で私に話しかけたのは、白髪まじりな短髪のおじいさんだった。
目尻にある笑いジワに、長年生きた彼の人の良さが刻まれている気がした。
最後の修行。
私の姿は新米の“介護福祉士”になった。
もちろん私に関わる全ての人間の記憶が改ざんされて。
先輩と一緒に個室を回っていたところだった。
『天野さらと申します。よろしくお願い致します。』
私はここで、人間達の仕事と老後を学ばなければならない。
学生だった頃のように知らぬ存ぜぬで空気になるわけなかはいかなくなったのだ。
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