3 人間との関わり

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「天野さん、私ちょっと所長に急用があるから、シゲさんの検温お願いね!」 『えっ、あの、せんぱ…』 天界ではエリートな私だけど、勉強ばかりしてきたものだから、天使らしい柔らかな雰囲気は愚か、所作さえ心もとない。 さらに下界へ来て、自らのコミュニケーション能力の低さも痛感している私が、人間を全うしてきた老人を前にどうすれば…。 「さらちゃんって言うのかい。」 その言葉で、保育園での修行を思い出した。 思えば名前で呼ばれたのはあの頃だけだったから。 『はい。』 「いい名前だな。清潔感のある君にピッタリだ。」 『えっと…』 「おお、突然悪いね。俺には子供がいないものだから。もしも孫がいたなら君くらいなのかと思ったんだ。」 『そう…ですか。』 老人は、私の素っ気ない返答にも嫌な顔一つせず、朗らかな笑顔を浮かべている。
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