1 天界

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7色に輝く架け橋を、宿舎塔に向かって見習い天使達がゾロゾロと歩く。 明日から修行で、私達は初めて下界に下りることになるのだ。 天使ではなく、人間の姿に変わって。 といっても、今の姿は人間とさほど変わらない。 透けるような金色の髪と、晴れた空の色の瞳以外は。 頭の輪も、美しい羽もまだないけれど、1人前の天使になってそれを手に入れることは、誰もが夢見ていることでもある。 「サラさん、卒業試験では、教養も天使学も人間学も、オールトップでしたのね!さすがですわ。」 「ありがとう、マリアさん。」 「もちろんサラさんも天使を目指してるのよね?」 「ええ!もちろん。一般職は考えてないわ。」 「そうよね、私もですわ。早く1人前の天使になって人間達を見守りたいわ。」 そうね、と、私はいつも通りおしとやかに微笑んでみせた。
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