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「……もしもし」
『…………』
無言だ。さてどうする。厄介そうだな。
「大丈夫?」
『……んー……』
「起きた?」
『んー……。今、ちょうど……起きたとこ……』
………よし、時間ぴったりだ。
「今から帰るんだけど。なんか買ってく? 朝ご飯食べた?」
『……いらないし食べてもいなぁい……』
「うーむ」
やっぱりこうなるか。
腕組みをして考え込んだ。
留守中に、“めんどくさいルームメイト”が何番目かの彼氏に振られた。らしい。
“らしい”というのは、昨夜本人から電話で聞かされたことで、寝耳に水というか、状況がよくわかっていないからだ。
昨夜の電話口ではひねもすドロドロめそめそしていたから話にならず、だけど掻い摘んで状況を咀嚼すると──。
……………。
……………。
まぁ、原因や理由は後回しだ。
ともかく、帰路を急がねばならない。
まさか早まった行動を起こしてはいないと思うけど、今でも泥のように部屋に閉じ籠っているに違いない彼女をこのまま放置しておくわけにはいかない。
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