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「僕は陸のそばにいるために走ってきた。
陸上を辞めるって言ったのは、陸に言った通り、このまま一緒にいるのが辛かったから。
そのくせ、いざ陸との繋がりがなくなると思うと堪えられなくて退部届が出せなかった。
今日来なくていいって言われて、ものすごく不安になった。
…僕の世界の中心は陸なんだ」
静がここまで俺のことを考えていたなんて。
「陸だって僕の気持ちを知っても僕を必要としてくれた。
返事もちゃんと悩んでくれてる。
それに」
静は俺の耳元に息がかかるほど唇を寄せてそっと囁いた。
「キスしたとき、感じてたよね」
「?」
慌てる俺を見て静は意地の悪い笑みを浮かべた。
「だからゆっくりやっていけば、ね?」
コイツ、こんな性格じゃなかったような。
「ね、じゃねえわ!」
俺は耳まで真っ赤にして怒鳴った。
あ~、これから俺たち、どうなっちゃうんだろう。
高校三年の秋、俺たちはまだスタートラインに立ったばかりみたいだ。
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