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さっきまで紅かった頬も血の気をすっかり無くして、唇は少し震えているみたいだ。
俺は全然気にしてないという風に明るく言った。
「思わねーよ。
てか、俺をそんな奴だと思ってたほうがショックだわ」
「陸…」
安心したのか、静の肩から力が抜けて、表情が急に柔らかくなった。
「好きだって言われて驚いたけど、俺にとって静は大事な友達だよ。
今でも静と陸上続けたいと思うし」
俺は笑って静のほうを見た。
けれど静はにこりともせずに神妙な顔をして言った。
「陸が平気だと言ってくれるだけじゃ、僕はもう友達のまま陸上を続けることはできない」
静が握りしめたままの手に熱がこもっていく。
「僕は、いつも陸に抱かれたいと思ってる。
離れても陸の感触が体に残るくらいメチャクチャにしてほしい。
陸が僕のものにならないのなら、陸が他の誰といるのも耐えられない」
俺は何も言えなかった。
恋愛感情のない男友達相手に、女の子とするようなことができるとは到底思えなかったからだ。
けれど、そこまで言われても静と陸上を続けたいという気持ちに変わりはなかった。
静と走るのはとにかく楽しくて、体に羽が生えたかと思うくらい速く走れる。
静が走る姿も俺は好きだった。
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