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今までこんなこと一度もなかった。
………いや、なかったんじゃない。
いつも静が助けてくれてたんだ。
静がいなくなっただけでここまで落ち込むとは、自分が情けなくなってくる。
落ち込んでうなだれている俺の肩を顧問が軽く叩いた。
「今度の大会が推薦の選考も兼ねてるからって気にしすぎてるんだろ」
大会で記録を落とすわけにはいかない。
それは事実だ。
でもだからといって不調になったりしない。
静さえ戻ってくれば俺はきっと…。
「そうだ神原、西林はいつから顔出すつもりか聞いてるか?」
「…どういうことすか」
「一回電話でしばらく休むって言ったまま何の音沙汰もないんだよ。試合はどうするつもりなんだか」
「…休むって言ったんですか、あいつ」
俺にはあの時確かに辞めるって言っていた。
けど確かに静の荷物は部室に置かれたままだ。
几帳面なあいつならさっさと持って帰るはずだ。
もし、俺にだけ辞めると言ってるんだったなら………。
今、静に会うのは正直気が進まなかった。
前よりももっとどんな顔して会えばいいのか分からない。
余計気まずくなるかもしれない。
けど………。
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