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それからずっと友達でもありライバルでもあった。
大学も、陸上が強いところに行こうって夏に学校見学も二人で行った。
「同じ大学に行く」それ以外の進路なんてないはずだろ。
靴を履き替えようと下駄箱に向かった途中で、静の姿が目に入った。
「陸、お待たせ」
静はちっとも焦った様子はなく、俺を見つけても足取りはゆっくりとしたままだ。
「静、おっせーよ」
俺は静に駆け寄った。
目の前にある、俺より少し低い静の頭を拳で軽くこづいた。
「ずっと突っ立ってたら彼女待ってると思われたぞ」
静は、こづかれた部分を押さえながら伏し目がちに笑った。
「悪かったね、男なんか待たせちゃって」
あれ、何か落ち込んでる?
静の様子がいつもと違う事に気づいて、俺はふざけるのをやめた。
「…何言ってんだよ。
ずっと一緒のダチじゃねーか」
待ち合わせに遅れたり、元気がなかったり、何かあったんだろうか。
「ま、詳しくは何か食いながらでいいや」
俺は放課後に二人で行くいつものファミレスに行こうと静を置いて歩きはじめた。
「ごめん。僕は行かないから」
静はその場で足元の落ち葉ををじっと見つめながら言った。
静の顔からはかすかな笑みすら消えて、口を真一文字に結んでいる。
「…何だよ、待ってたのに。
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