第2章 バザールの老婆

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* 僕たちは二人揃って<絨毯売り>のところに戻った。 <絨毯売り>はそれを律儀に待っていたのだ。 「若造を未熟として許してくれるのは親までさ」 そんな僕等に老婆は一言釘を刺した。 なんだろう、そんな老婆の行動そのものに親心を感じる。 「私は<死神>とは懇意でね、お前らには情報を提供してやる」 僕たちが<絨毯売り>の元に派遣された意味。 それは任務達成のためであり、その任務とはつまり・・・ 「私は必要な情報しか渡さない、前金はもらっている」 だから必要な情報の取捨選択を自分でやれと老婆は伝えているのだ。 そのくらいは自分でやれ、と。 老婆に甘さを指摘されたからって殊勝になって判断力を失ってはいけない。 そもそも、一回や二回折られた程度でダメになる鼻っ柱を持ったつもりはない。 「僕たちが必要とする情報は三つだ」 そうして僕たちは自分のたちの死地へと足を踏み出していく。
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