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トガル帝国は大自然に分断された領土を信用できる諸侯に任せることで統治した。
その中でも特に強く分断されているこの街はトガル帝国の一部というより、ルカスクという一つの国のようであった。
国が地方の財政を縛るための支出金に頼ることもなく、独自の財政を持って(一番は海洋から大量の液化天然ガスを採掘できたことだろう)統治を行っている。
結果、ルカスクは良い意味でも悪い意味でも世界の状態に惑わされることなく、しかし、そんな状態でありながら力を持っている僕たちからから見ればおあつらえ向きのステータスを持つことになる。
「ねぇ、見た?」
タチバナがこう言う時にする質問は大体、センチメンタルなものが多い。
幼年士官学校からずっと一緒の僕だから分かる、彼女の優しさだった。
「うん・・・見たよ」
何を?と言わなくとも分かってくれている。
タチバナはそんな安心感を僕に持ってくれているし、僕もそこを間違えていない自信はある。
「子供が店番出来るんだね、この国は」
ルカスクのバザール
観光客というものがいるのなら、間違いなく目玉になる規模のものだった。
食料品だけでなく、衣類や生地、下手をすれば銃器まで露店で売っている。
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