4章 ヘクター=アクシディアス

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「それならここにいる僕たちはどうなる?」 そこでオンダは気付いた。 正確には思い出した。 <死神>がこの二人を選んだ時の任命官のセリフ 「お前らだけの任務だ」 (・・・僕たちは抗体を持っていた) 「抗体があるんだろう、それかここで病でくたばってもらうために派遣されたか」 「抗体があるのさ」 ヘクターの言葉に<絨毯売り>が即座に否定を入れる。 その速さに眉をひそめた後に言葉を続ける。 「だけどな、帝都の災厄の時期を生き延びているのだから住民は抗体を持っているはずだ」 ルカスクが持つ病原体だけでは帝都に強気に出られる要因にはなりえないのだとヘクターは言う。 抗体は遺伝的に受け継がれる。 もちろん、確実にではないが嘗てほどの猛威は震えないだろう。 「それなら、伝染病は関係なんじゃないのか?」 「それ以外に帝都がルカスクのクア=ケファルを放っておいている理由が分からない」 オンダは瞬間に可能性に頭を巡らせる。 しかし、確かにどの場合でもクア=ケファルを容認するまでには至らない。 他の都市も独自の様式はあるが、ここまでではない。 「だからな、それを調べる」 ・・・本題はそれか。 タチバナも呆れるようにため息をつく。 「話が長い」     
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