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「ここまで説明しないとお前らには分からないだろう」
目顔で切り返すヘクターの語尾には嫌悪感じみた何かがあった。
それをオンダ感じるが、残念なことに左右されるほど子供でもなかった。
「分かった、それでどうすればいい?」
それなら出来るだけ話は早く。
「オンダは俺と共にエスメラの元で働いでもらう、幸いエスメラからは前々から誘いをもらっていたからな」
「まぁ、諜報機関に入ってもらう」
<絨毯売り>がフォローをした。
それでもなお、諜報機関という響き。
「<死神>は暗殺組織だったか、なら最低限の基礎はあるだろ」
その基礎のなさを疑問視しているための見くびりではないのか。
「・・・待って、私は?」
「お前は<絨毯売り>の元で働け、この老婆も年だからな」
「五月蝿いね、昔より生産性が落ちただけさ」
自分たちの想像よりも事態は進んでいたらしい。
しかし、唐突に情報稼業に身を置くことに二人は戸惑いを隠せない。
「オンダは諜報機関<真実の盾>の養成員から始めてもらうことになる、信用がないからな」
「タチバナは私の元でただ働くだけさ、情報収集を主にね」
「ちょっと待て・・・!」
オンダが声を強める。
このままではこの二人に全てを持って行かれる。
「お前ら情報屋の領分じゃないだろう・・・!」
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