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「よし、今日はこれでおしまい」
長らく被写体を務めていたサギが、ひょいと飛び去って行く。
あともう少し、もう少しだからと、二時間待たされた。僕はただ昼食の用意ができたと伝えに来ただけなのに。スープはもう冷めてしまっているだろう。仕事を終え満足げな彼女の後ろをとぼとぼついていく。
彼女は写楽玄冬という名で、カメラマンとして全国を飛び回っている。宿代を浮かしてやろうと、知人の家を転々としているらしい。そして今回は、僕が被害者というわけだ。
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