泡沫の恋

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「あ、お昼休憩の時間大丈夫ですか?」 「あっ、そろそろ行かないと。では、俺はこれで失礼します」 「はい。今日は本当にありがとうございました」 「いえ、……あの」 「はい?」 「また、連絡してもいいですか?」 「はい! いつでも」  にっこりと嬉しそうに笑う秋良に、越谷の胸がほんのりとあたたかくなる。その場で連絡先を交換してまた会う約束までしてしまい、たった数十分一緒にいただけとは思えないほど距離が縮まった気がしていた。笑顔で別れて、早くまた会いたいと、知らず知らず越谷はそう思っていた。  越谷は堂々と痴漢から守ったことからも分かるように行動力があるタイプなので昔から人気者だったが、異性に友達以上に思われることがなく、社会に出てからというもの、女性とはあまり縁がなかった。なのでこんなにも自然体で話せる女性と出会えたことが嬉しく、ほんの少し、期待もしていた。
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