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太陽な彼ら
抜けるような青空を見ると、いつも思い出す。けっして届かない天に向かって跳んだときの、あいつのきれいな背中を。
「――パイ、センパイ! 日向センパーイ?」
はっとして振り返ると、目をすがめたくなるような金色が視界に入った。
「どーしたんですか? ぼーっとして」
心配そうに顔の前で片手を振る彼女に、曖昧な笑みを返す。
「あぁ、ごめん。終わった?」
「はい! 採点、お願いします!」
元気よく答えて彼女が差し出してきた一枚の紙を受け取り、私は赤ペンを手にした。
「どれどれ……」
一問一問確認しながらペンを走らせる。今日はやけにスムーズだ。どうやら彼女の調子がよかったらしい。
最後の二問に差し掛かっても、そのリズムが乱れることはなかった。
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