太陽な彼ら

1/50
前へ
/50ページ
次へ

太陽な彼ら

   抜けるような青空を見ると、いつも思い出す。けっして届かない天に向かって跳んだときの、あいつのきれいな背中を。 「――パイ、センパイ! 日向(ひなた)センパーイ?」  はっとして振り返ると、目をすがめたくなるような金色が視界に入った。 「どーしたんですか? ぼーっとして」  心配そうに顔の前で片手を振る彼女に、曖昧な笑みを返す。 「あぁ、ごめん。終わった?」 「はい! 採点、お願いします!」  元気よく答えて彼女が差し出してきた一枚の紙を受け取り、私は赤ペンを手にした。 「どれどれ……」  一問一問確認しながらペンを走らせる。今日はやけにスムーズだ。どうやら彼女の調子がよかったらしい。  最後の二問に差し掛かっても、そのリズムが乱れることはなかった。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加