太陽な彼ら

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 これは、もしや――  程なくして淡い期待が現実になった瞬間、自然と両頬が持ち上がるのを感じた。  ちょっと幼稚かなと思いながらも、右上の端に大きな花丸を添える。 「おめでと。初めての100点だよ」  そう言って返却すると、彼女はしばらくポカンとしていたが、やがてとびきり明るい笑顔を咲かせた。 「うおー……マジっすか? マジっすか!?」  目を丸くし、信じられないというふうに繰り返す。そんな姿が微笑ましくて、 「マジマジ。そのテストが何よりの証拠」  屈託なく笑ってみせると、手渡したばかりの紙切れをギュッと大事そうに抱きしめる彼女。  それは、彼女の過去のテスト結果を参考にして私が作った、数学のミニテストだった。 「すごいじゃない。初日なんて20点台だったのに」
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