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「ほんとに……ほんっとにありがとうございますっ!」
「そんな。平野さんが頑張ったからだよ」
目を輝かせながら何度も感謝を口にする彼女に恐縮しつつ、素直に嬉しく思う。
彼女――平野よしえに家庭教師をしてくれと頼み込まれたのは、つい二週間ほど前のことだ。
自慢ではないけれど、私は入学当初から二年に進級した今まで、学年で五本指に入る程度の好成績をキープしているので、彼女もどこかでその噂を聞きつけたのだろう。
ある放課後、
「あの、すみません」
教室を出たところで、誰かに呼び止められた。
反射的に立ち止まって振り返ると、眩しい金色のショートヘアが目を惹く。
こちらに問いかける隙も与えず、その人は一方的に捲し立て始めた。
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