太陽な彼ら

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「あたし、バンドやってるんですけど、夏休みはライブとかあるんで赤点と補習だけは避けたいんです。そうじゃなくても中間ヤバかったし、授業中も爆睡しちゃったりしてるんで、このままだと留年もありえるかなって……だからセンパイ、勉強教えてくださいっ!」  どことなく軽々しい口調。いかにもロックバンド風の髪。左腕に光る銀のブレスレット。  初対面にもかかわらず、自己紹介もしないまま深々と頭を下げる彼女に、私は顔をしかめた。  いくら学校の方針で校則らしい校則が存在しないとはいえ、うちは都内でもそれなりに名の知れた高校だ。  私はそんな場所で自由の意味を履き違えた人間にはなりたくなかったし、なれなかった。  ギャル――もしくは、ヤンキーと言ったほうがいいだろうか。そんな形容詞しか思い浮かばないような女の子と、マンツーマンで勉強するなんて。
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