3.監視映像

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時計を確認すると、現在時刻 “ 22:59 ” 。 監視映像には特に異常もなく、怪しい人物なども映る気配もない。 隣で30台ものモニターを目をしぱしぱさせながら見ている圭二、警備員2名も同じように、何の異変も見つけられないでいた。 「午後11時じゃなく、午前11時だったのかもしれないね」 と、魁斗がため息をついたところで、全てのモニターに砂嵐が走る。 そこで、血眼(ちまなこ)になってモニターを見ていた圭二が、1つのモニターを指差し叫び出す。 「み、見て!!!あのカメラだけ、おかしいよ!!!」 全てのモニターに砂嵐が走っていたが、左隅のモニターだけゆっくりと砂嵐がなくなっていき、モノクロの映像にわずかに動くものが現れる。 小さな子供らしき人物が、どこかで拘束(こうそく)されているようで、その口は白っぽい布で覆われている。頭には幼稚園の帽子らしきものを被っており、顔が少しも確認できない。 「あれは………男の子?」 真っ先に声を上げたのは、松野であった。 「顔も見えないのに、どうして男の子だと分かる?」 「だって、あの子の履いてる靴、私の弟が欲しがってたから知ってるんです。今男の子に大人気で、売り切れ店が続出して、入荷待ちで早くても半年かかるって言われた幻の靴なんですよ」 「マツコくん、弟いたのか。って、そんなことより!あの子が幼稚園、推定6歳の男児で、1人でどこかに拘束されているとなると、かなり危険だ!誰か、今モニターに映っている場所がどこだか分かる者はいるか!?」 「それが…他のカメラはどこを映しているか画面下に表示されるはずなんですが、なぜかその映像にはないのです」 「通常の監視映像ではないと思った方がいいな。犯人側が設置したものかもしれない。少しでも場所の手掛かりがないか探してくれ」
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