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監視室にいるほとんどの者が、映像に映る少ない情報から、男の子の拘束されている場所を特定する手掛かりを探していたが、その中でただ1人、ガタガタと震え始めた人物がいた。
「あ…あ…あ………」
「圭二?お、おい!?どうした?」
圭二は小さな体を自分で抱きかかえるようにして震え、地面にへたり込んでしまった。
「ゆ…誘拐事件だ…」
「おい?圭二?誘拐だって?」
「だめだ…なんでこんな…だって、もう犯人は………どうして」
あご先までガタガタと震えている男は、視点が少しも定らず、舌が喉に絡まったように呂律も回らない。
「最近、物騒な事件が起きてるって言ってたのは、このことか?誘拐事件がここ、横浜で起きてるってことか?」
「なのに…おかしい…。さっき、相川先輩…取り調べて…犯人移送した…」
「相川が怪我したのは、犯人を移送中にやられたってことか?圭二、しっかりしろ!!!」
魁斗は思わず圭二の頬を両手で軽く包むようにして叩く。すると、視点が定まっていなかった圭二の瞳に、ようやく光が戻る。そして、ポツリポツリと、言葉を噛みしめるように話し始める。
「横浜で…ここ最近頻発してる…連続男児…誘拐…」
さらに、最後に驚くべき言葉を口元から発した。
「……………殺人事件……………」
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