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見送る空としゃぼん玉
大好きだったばあちゃんが死んだ。96歳だった。
ずいぶん長く生きたほうだとは思う。ちょっと前までは自転車で近隣を走り回っていた人だ。若いうちにじいちゃんを亡くしてから、女手ひとつで4人の男の子を育て上げた気丈なばあちゃんは、同居していた両親も知らぬ間に、心筋梗塞でひっそりとひとり亡くなっていた。
同居していた俺の父は4人兄弟の末っ子だった。役所勤めで実直。その上、奥手。当然ながら晩婚だった。末孫だったこともあり、俺は相当なばあちゃんっ子だった。だから、訃報を聞かされたときは頭が真っ白になった。共働きの両親に代わって面倒を見てくれたのが他でもない、亡くなったばあちゃんだったからだ。
同県内とはいえ、大学に通うために実家を離れた。夏休みも年末年始もバイトに明け暮れて、まったく帰省しなかった。今はそのことをほとほと後悔している。
ばあちゃんが高齢なのはわかっていた。だけど、こんなにも急にいなくなるなんて思ってもみなかった。100歳くらいまでは、平気な顔でピンピンしているだろう――そんなことを本気で考えていたほど元気だったんだ。
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