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モニター : 犀川俊秀
「生きたまま肉を…ですか?」
犀川俊秀のもとに、腕と脚の一部が欠損している死体が運び込まれた。
欠損部分には生体反応があり、生きたまま身体を抉り取られたらしい。
犀川の仕事は被害者本人の記憶を掘り起こすことだった。
正確には、被害者の最期の記憶を別の人間で再生する。
犀川はそのシステムを“モニター”と呼んでいた。
いずれは人間を介さずに再生したいものだ。
モニターによる記憶の再現。この時点では、遺体は死後3日以内であること、頭部と頸椎に損傷がないものでなければいけなかったが、幸いそこは綺麗な状態のままだった。
まだ不完全なその技術を頼ってくるなんてあり得ないことだったが、有名な代議士の娘だと聞いて納得した。
犀川は高鳴る気持ちを抑えることが出来なかった。
生きたまま食べられる人間の記憶、咲乃がその記憶を“見たら”どんな顔をするだろうか。
あの子の顔が苦痛に歪む姿は、さぞかし美しいだろう。
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