7人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
この数日間、加奈は悠斗に病的な程に愛情を注ぎ、そのうちに潜んだ狂気を露にしていた。
加奈が悠斗の失踪に関わっていることは、安易に想像できた。
『もしもしぃ? あらお姉ちゃん。自分から関わるなって言ってきたくせに、何の用かなぁ』
「あんた、悠斗の居場所知ってるんでしょ!? あんたが何かしたことくらい分かってんのよ!」
ずっと悠斗に付きまとっていた影、加奈。
その加奈の毒牙に悠斗が晒されていると考えると、頭がどうかしてしまいそうだ。
「何いきなり、うるさいなぁ」
「質問に答えなさい!」
しかし、加奈は他人事のように釈然としない態度。それが更に真奈の焦りと怒りを掻き立てた。
「お姉ちゃんの質問に答えるのなら……もちろん、知ってるよ? だって悠斗君を誘拐したの……あたしだし」
加奈は何の躊躇いもなく、自身の犯行であると認めた。
関わっているとは思っていたが、あまりにも犯行をあっさりと白状した加奈に、真奈は驚きを隠せなかった。
加奈に言い逃れする気も、事件を隠ぺいする気も毛頭ない。何故なら、悪事を働いているという自覚すら欠如しているからだ。
善悪など関係ない。ただ、自らの欲を満たすためだけに加奈は行動する。
十三年前、姉妹が弟・由宇に対して行ってきた『禁じられた遊び』と同じように。
最初のコメントを投稿しよう!