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第一話 忌まわしき過去
ある女の家族の中では、『禁じられた遊び』があった。
それはあまりにも歪で、忌々しく、醜悪な遊び。そして、その遊びは女の弟の精神を蝕み続け、やがて弟を自殺に追いやる事となる。
殺したのだ、実の姉であるその女が。
日曜日の昼下がり、三人の子供が一つの部屋に集まっていた。
鍵を閉め、カーテンも閉め切り、光の届かない密室。
「加奈姉さん、やっぱり止そうよ。恥ずかしいし……」
弟の仁村 由宇は姉二人を前に、顔を赤くして体を硬直させている。
「いいから、お姉ちゃんたちに任せておけばいいの」
長女の仁村 真奈が由宇を強引に抑え込み、ベッドに押し倒す。
男子とはいえ由宇は身体も細く、年上の姉たちには到底敵わなかった。
「加奈、ちゃんと玄関の鍵も閉めた? こんなの誰かに見られたら大変なんだから」
「平気平気、お父さんもお母さんもどうせ夜まで仕事でしょ……お姉ちゃんもゆっくり遊べるじゃん」
真奈の言葉に、次女の加奈が適当な返答をする。
そう、この部屋での『遊び』は決して誰にも知られてはいけない。
知られれば、ただでは済まない。そのくらいの予想は当時の幼い子供たちにも安易にできた。
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