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最終話 禁じられた遊び
仕事も定時に近づいてきた午後七時、真奈の携帯電話が慌ただしく鳴り響いた。
連絡してきたのは夫の通だった。普段は仕事中に連絡を取り合うことなどほとんど無いので、真奈はその着信に不安を抱える。
「もしもし。どうしたの、通さん」
『悠斗が……悠斗が、帰って来ないんだ……』
電話口の向こうで、夫が落ち着きなく狼狽えている様子が安易に想像できた。
夫の震えた声を聞き、真奈の中で燻っていた不安は更に大きくなる。
「け、警察には?! 警察には連絡したの?!」
『ああ、今から捜索してくれるらしい。俺も辺りを何度も探し回ったが、悠斗はまだ……』
午後七時、小学生が外出するには遅い時間帯だった。
それに、悠斗がこんな時間まで戻ってこなかったことなど一度も無かった。
真奈の不安はさらに拡大していき、真奈は居ても立っても居られなかった。
「私も、私もすぐに帰るから……通さんはもう一度辺りを……」
仕事場を汗だくで飛び出し、真奈は自宅へと向かった。
自宅に向かう途中、真奈は加奈へと連絡をする。
悠斗の身に何かがあったと考えた時、真っ先に浮かんだのは加奈の存在だ。
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