真実の泉

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 カールが泉の主に遭遇してから、3ヶ月が経ち――ついに、決行の時が来た。  村人の中から、ミハエルという若者が選ばれた。  ミハエルもまた、嘘の付けない男だったが、彼はカールの幸せな結婚を羨み、この『試み』が成功した果ての幸せな人生を思い描いていた。  実際――村の独身男たちで、カールの人生を羨まない者は皆無だった。  普段使っている斧は刃こぼれや錆があったので、泉の主に失礼がないように、ミハエルは真新しい斧を持参した。  村役場で地図を前に、カールから入念に泉の位置を確認する。  村と独身男たちの夢を背負って、ミハエルは森に向かった。  しかし、彼が村に戻ることはなかった。 * * *  翌日、話し合いの末、数人の男たちが、ミハエルを探しに森に入った。  カールを道案内にしたので、直ぐに泉にたどり着くことができた。  泉の畔に、人影が見える。 「おーい、ミハエルかー?!」  返事はない。  村人たちが泉の前に来ると、驚愕した表情のまま、両腕で光を遮ろうとした姿勢で石化した、ミハエルの姿があった。  彼の足元には、持参した新品の鉄の斧だけが転がっていた。 【了】
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