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岩場で彼女と少し話しをした。どうやら島の漁師の娘で、今日は岩場でサザエを取りに来ていたらしい。俺は合宿でこの島に来たことを話した。いつまでいるの?と彼女は聞いた。あと3週間たったら帰ることを伝えた俺さまは、自分でも驚くような事を言った。「お礼がしたい。住所を教えてくれないか」とね。まったく笑っちまうぜ。この俺さまともあろうものが、彼女に恋をしたらしかった。お前のせいたぜ、この野郎と心臓のあたりを叩いた。
やがて、海に沈む真っ赤な太陽が海面を染めた。
「きれいだね」と言う俺さまに彼女は頷いて、沈んでいく夕焼けの空を見上げていた。
そういう訳で俺は…いや俺さまは合宿を無事終え、帰路についたのだった。彼女が教えてくれた住所を頭で覚えて書き込んだメモをポケットに入れて。
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