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俺さまは、島に転勤願いを出した。しかし学校側は、なかなか転勤願いを受理しなかった。それはそうだろう…俺さまは今度は優れたコーチとしてその辺りでは名前が知れていたからだ。
それから5年後ようやく島の小学校への転勤が許可され、しばらく連絡をしていなかった彼女に会いに島へ行った。俺は彼女が働いている役場を訪れた。
「ああ、彼女なら島の診療所に入院しているよ、かわいそうに若いのに癌だそうだよ」
俺は頭の中が真っ白になった。そして俺さまの心臓は違った意味でカチカチ音をたてて鳴っていた。
診療所に行くと、車椅子を看護師さんに押されて庭にいる彼女を見た。痩せて目の下にはくっきりと死へのサインが表れていた。
近寄る俺に気がついた彼女は「遅いわよ、あなたが来るのが遅すぎるの」と俺の顔を見ながら笑っている顔に涙がスッーとつたって落ちた。
俺は…俺さまは天下一品の柔道バカだな、俺の心臓はくれてやるから治れよと心の中で俺も泣いた。
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