最良の選択③~最終話~

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社会人になってからの生活はまさに順風満帆だった。都内のマンションを購入し、舞と幸せな生活を送っていた。幸せな時間は過ぎるのが早いもので、気づいたら30代後半に差し掛かろうとしていた。 最良の選択のとおり、子供には恵まれなかったが、舞はそれを受け入れてくれていた。しかし、どことなく寂しそうな顔をするときもあり、時田はそれとなく養子を迎えてみる相談を持ち掛けた。時田自身としては養子は受け入れなくてもいいのだが、舞のことを考えての提案だった。すると、舞は思いのほか乗り気であり、3歳の智之という男の子を養子として迎えた。 智之はとても聞き分けがいい子であり、旗から見れば仲睦まじい親子であった。 舞も智之のことをとても愛しており、時田は満足だった。ただ、彼自身は智之のことを自分の子として見ることはどうしてもできなかった。 智之「今度の休みに旅行に行きたい」 舞「パパに相談してみましょう」 時田一家は、箱根旅行に向けて車を走らせていた。道も混んでなく順調だった。 時田はしばらく仕事が忙しかったこともあり、ついぼーっとしてしまった、その時であった。 時田「しまった。」 ハンドル操作を誤り、車のバランスを崩しトラックに衝突してしまった。 ドスン ものすごい音がした。 運の悪いことに後続車も事故に巻き込まれ、辺りは悲惨な状態となった。 横転したトラック、ぐしゃぐしゃに潰れた車、事故の衝撃で外に投げ出されてしまった人、誰が見ても大事故であった。 パトカーや救急車が到着し、 時田一家はすぐさま病院に運び込まれた。
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