回顧

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回顧

自我が芽生えて以来、とにかく知識を吸収することには貪欲だった。 自らの存在意義が知識量であるかのように思っていた。特に人が書いたものを読むのを好んだ。哲学、文学、科学、歴史、医学、、、とにかく貪るように読んだことを覚えている。本当に誰にも負けないぐらい知識を吸収してきた。 いつしか私は世の中の役に立ちたいと思うようになった。仕事として選んだのはコンサルティング業。豊富な知識を活用して、個人や企業、公的機関等、様々なクライアントの課題を解決してきた。いつしか人は「史上最も優秀なコンサルタント」という称号を私に与えた。少し大げさだと思ったが、その称号が私に比類無き名声をもたらすことになった。 月日が流れ、ある時世の中に大きな変化が起こった。選挙制度が改革されて誰しもが政治に参加しやすくなったのだ。私は世の中を変えたいと思い、立候補した。その時の経験は私の生涯における最も印象深いことの一つだ。私の実績を評価し支持してくれた人も多くいたが、一方で私に対して懐疑的で否定的な意見をいう人も多かった。     
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