第1章 出会い

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京都は盆地で四方を山に囲まれている。 夏は暑いし、冬は寒いんやけど どこか風情があって癒される。 生まれてこの方28年、県外には殆ど出たことがない。 京都は碁盤の目になっていて、 それぞれの通りに名前がついている。 姉さん六角蛸錦~ と小学校では童べ《わらしべ》のような歌を習う。 皆んなそうして通りの名前を覚えていくのだ。 私は正直、かなりの方向音痴で 碁盤の目でも道に迷ってしまうことが多々あったが、それでもよく行く場所はしっかりと把握することができた。 京都の玄関口、京都駅を出て東に進むと八条東口という出口にでる。 そのまま真っ直ぐイオンモールの方に進むと右手にはローソンが見えてくる。 さらにそのローソンを越えて真っ直ぐに歩いて行くと堀川通りと七条通りがぶつかる 堀川七条通りに出る。 更に真っ直ぐ歩いていくと八条通りと大宮通りとが交差する八条大宮に辿り着く。 そこから左手に曲がれば、東寺はもう直ぐ目の前だ。 弘法大師が建てたとされる東寺の歴史は古く1000年以上も前796にも遡る。 嵯峨天皇の命により空海こと、弘法大師が建立されたとされる真言宗の総本山であり、京都の古都重要文化財でもある。 毎月21日には、弘法さんと大売って東寺の敷地内には出店が並び骨董品、乾物、着物や端切れなど 見るものを楽しませる。 なので、その日ばかりは周囲のお店もこぞって客引きをし盛り上がりを見せるのが常だった。 私は弘法さんの響きは瓢箪(ひょうたん)に似ているといつも思っていた。 瓢箪は薬入れに用いられていたことから、枕元におくと無病息災と言われており、 弘法さんの日に参るときっといい事があるという、ジンクスのようなものは皆んな皆無病息災を願っているためだろうと強く感じた。
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